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Round ZERO ~ JOKER DISTRESSED(前編) ◆HlLdWe.oBM 彼は後悔していた。 自らの犯したあやまちで大切な家族を失ってしまったから。 それはもしかしたら彼が責任を感じる事ではないのかもしれないが、悲しみに暮れている今の彼は自らを責める事しか出来なかった。 彼の周囲の地面は焼け焦げた上に建物は崩壊しているが、今の彼の視界にそれらは映っていない。 その眼が映すものは何も言わない地面のみ。 ただ燃え盛るような熱風が彼を一層苛んでいるようであった。 天空では煌びやかな太陽が燦燦と輝いているというのに、彼の周りだけにはその陽光が届いていないようだ。 ▼ ▼ ▼ さまざまな家屋が日の光を余す所なく浴びながら建ち並ぶ市街地。 いつもなら仕事に追われる会社員が忙しく車を走らせ足を動かしているような場所。 だからこそ現在この近辺の市街地は一般的な市街地と比べて異常と言える。 なぜなら少し耳を澄ませてみれば方々から平和な市街地には似つかわしくない音が響いてくるからだ。 それは建物が倒壊する音であったり、金属と金属が激しくぶつかり合う音であったり。 ガラスが割れる軽い音であったり、アスファルトが砕ける重い音であったり。 平和とは程遠い物騒な音があちらこちらから引っ切り無しに響いてくる。 そしてそんな物騒な市街地に二人の女性がいた。 どこかの会社のOLとは全く別世界に生きるこの二人も通常なら市街地に似つかわしくないと言えよう。 一人は青紫のショートヘアに茶色の陸士制服を着こなしている若くして捜査官として一線で活躍する少女。 近代ベルカ式陸戦魔導師にしてシューティングアーツの使い手ギンガ・ナカジマ。 もう一人はブロンドヘアに黒の焦げたコートを着込んでいる若くしてヘルシング家の当主となった女傑。 円卓会議の一員にしてヘルシング機関の長インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング。 だが自らの意思とは関係なくデスゲームに参加させられた二人に選択肢はない。 ただ己の意志の下で行動するのみだ。 しかし数時間前にギンガは殺生丸という憧れの存在の死を乗り越えて新たな決意を抱いたというのに、その表情は心なしか焦りを秘めているかのように険しい。 そしてインテグラの方も常日頃の化け物討伐の時と同様に若干の憂いを帯びていて表情は優れない。 その理由は少し前に二人の元から去って行った相川始――を追いかけていた二人自身にあった。 「すいません、インテグラ卿。私が先走ったばかりに……」 「今度から気を付けるんだな……とは言うものの、お前の判断に従った私が言える事でもないな」 自らの目的が参加者を皆殺しにする事だと公言して去って行った青年、相川始。 ギンガとインテグラが始を追いかけるためにヘルシング機関を後にしてからそれなりに時間は経ったが、未だ追いつけていなかった。 その理由は単純に追いかける方向を間違えただけだ。 当初西へ向かっていた二人だが、しばらく経つと迂闊にも始の姿を見失ってしまった。 応急措置済みとはいえ全身に軽い火傷を負ったインテグラは本人の気持ちとは裏腹にまだ無理を出来る身体ではなかった。 そして同行者のギンガが責任を感じてインテグラにも極力注意を向けて気遣う事は当然であった。 それに対して始は行き先も考えずに本能の赴くままに疾走しただけ。 本調子でない二人が始を見失うのも無理はなかった。 だが二人はそのまま立ち止まらずに当初は始が向かいそうな学校へと移動しようとした――その時だった。 二人の耳に地の底から響くような轟音が届いた。 それは同時刻D-4とE-4周辺で繰り広げられていたアーカードとセフィロスの死闘の響き。 両者共にビルを崩壊させる程の化け物級の力を駆使しての全力全壊の戦闘だ。 その余波がビルを隔ててもギンガとインテグラの耳に届いて来るのは必定であったのかもしれない。 ――もしや相川始が誰かと戦っているのでは? そしてギンガがそのように結論を下して行き先を南に変えても誰も責める事は出来ない。 優勝を目指す始を追いかけている最中に戦闘の気配を感じればその可能性を考慮して当然だ。 だから二人は聞こえてくる音を頼りに南へと向かったのだが、結局は無駄足だった。 実は運が良ければ始に追いつく代わりにインテグラは自身が使役する吸血鬼であるアーカードと再会できたはずだ。 だが二人が辿り着いた時には周囲には激闘の証である二本の朱塗りの槍が虚しく地面に突き刺さっているだけだった。 これが二人の表情を険しくさせている訳であり、特にギンガは今でこそ落ち着いているが、失態の直後は目に見えて責任を感じていた。 一方的な勘違いから行き先を変更して得た収穫が槍二本という散々な結果。 いくら始に殺人を犯させないと意気込んでいたとはいえ碌に確認もせずに移動したのは捜査官として初歩的とも言えるミスだった。 ここに来てから憧れだった殺生丸との再会と永遠の別離、そして相次ぐ仲間の喪失。 さすがのギンガも表面では冷静なつもりでも中身まで常のような冷静な判断を下し続ける事は不可能だった。 だからこそ自らのミスで生じた遅れを取り戻そうと再び当初の目的地である学校へ進路を定めたのだ。 そして今二人は休息と各々用事のために少し足を休めていた。 「ギンガ、用事は済んだのか」 「ええ、なんとかなりそうでした。インテグラ卿の方は?」 「ああ、今しがた終わったところだ。受け取れ」 そう言ってインテグラがギンガに手渡した物は小型の機械だった。 それをデイパックに仕舞うと、ギンガは改めて今まで調べていたホルダーに目を遣った。 コルト・ガバメントと先程の機械、そして今手にしているホルダー内のカードのような物がギンガに支給された物だ。 このカードのような物はメモによるとカートリッジシステムの代用になる簡易型の使い捨て魔力蓄積装置らしい。 コンパクトなホルダーにはこのカードが全部で48枚も入っていて、使い方次第では有効な物だ。 今まではホルダーをデイパックの中に入れていたために咄嗟の時に使えなかったが、今は左太腿に付けたので次は大丈夫だ。 さっきまでも3枚ほど試しに使用して魔力の調子を確かめていたので、いきなり使って不備が生じるという事態にはならないはずだ。 「では、行きましょうか」 「ああ、そうするか」 ストレートからショートになった髪と同じ色の青紫のリボンを風に靡かせながらギンガは走りだす。 所々焦げ目を付けたブロンドヘアを風に靡かせ眼鏡の位置を軽く直しながらインテグラも走りだす。 その先に待ち受ける結末を知らないままに。 ▼ ▼ ▼ 吸血鬼は橋を渡れないという言い伝えがある。 これは吸血鬼という闇の生き物が流水の上を通過できないという事象から来ている。 だから吸血鬼に遭遇した場合は近くに川があれば安心かもしれないが、如何なる事にも例外というものは存在する。 この場合の例外は『真祖のような強い吸血鬼にとっては流水など致命的にならない』という事だ。 現在D-5の川を見つめているアーカードがまさにその真祖に該当する。 もっとも真祖であるアーカードにとって流水はおろか日光さえ苦手の一言で済む程度である。 「一足遅かったようだな。もう既にこの辺りには誰もいない、か」 これより少し前にアーカードはE-4からD-4にかけてセフィロスと死闘を繰り広げていた。 実際にその時の戦闘の音を聞いてギンガとインテグラはD-4の南へと向かったのだが、結果は不運なすれ違い。 二人が着いた時には既にアーカードはこのD-5の橋付近に移動した後であった。 アーカードがここに来た目的は突然消え去ったセフィロスとヴィータを探すためだ。 あの時セフィロスとヴィータが突然消えた原因であるヘルメスドライブ。 その説明書によると二人の転移先は同エリア内に限定される事が判明した。 だからまだ近くにいる可能性もあったので周囲を探索する事にしたのだ。 その途中で橋付近での騒動を感じ取って急ぎ駆けつけたが、その時には既に誰もいなかった。 実際にその騒動にセフィロスとヴィータも巻き込まれていたが、あいにく気儘な神の仕業で二人は川に落ちて流されてしまっていた。 結果的にアーカードも二人とすれ違った上に誰もいない橋で一人寂しく佇む事になっている。 「さて、この辺りにはいないようだが……だとしたら、逆か」 その事実を知らないアーカードは忌々しげに元いた方角つまり西に足を向けた。 こちらにいないのなら逆方向に飛ばされたと考えたからだ。 アーカードは今度こそ再会できる事を期待して興味深く西の方角を睨みつけるのだった。 その先に待ち受ける結末も知らないままに。 ▼ ▼ ▼ それほど広くはない敷地内に効率的に建てられた校舎に日の光が燦々と降り注ぐ頃合い。 学び舎たる学校では命を賭けた死闘が繰り広げられていた。 その戦いの舞台に立つ者は3人。 一人目は黒い鎧を身に付けた仮面の戦士カリス――相川始。 右手のカリスアローを巧みに操り、驚く事に未だラウズカードを1枚も使う事なく持ち堪えている。 その身体には縦横に傷が走っているが、致命的なものはまだ受けていない。 二人目は金色の鎧のような外殻を持つギラファクワガタムシの祖たるギラファアンデッド――金居。 左右一対の双剣、右のヘルターと左のスケルターを身体の一部のように駆使して縦横無尽に斬りかかっている。 その身体にもカリス同様に傷が走りアンデッド特有の緑色の血が全身を微かに彩っているが、カリスに比べれば負傷は軽微だ。 三人目は黄色のパイロットスーツを着た元僧侶――武蔵坊弁慶。 自身に支給された魔刀・閻魔刀を両手で握り力任せにカリスに斬撃を繰り出している。 その身体も他の二人と同様に傷が走っているが、負傷の程度は弁慶が一番酷く見える。 既に戦闘前に装着した黄色のパイロットスーツはあちこち斬られて、その下には紅い血で染まった僧衣が見え隠れしている。 戦いの狼煙が上がった原因は始と金居の邂逅。 ジョーカーである相川始とアンデッドである金居は相容れない存在。 それに加えて弁慶は同行者の金居からジョーカーの危険性を十分に教えられていた。 この時点で始と金居・弁慶の激突は必至。 激戦の火蓋が切られるのに時間はかからなかった。 そして激戦の舞台を学校の校庭と定めた3人は各々死力を尽すのであった。 「チッ――!!」 カリスの面の下から漏れる微かな舌打ち。 その声と共に振るわれるカリスの右手。 宿敵に向けた手に握られるは白き醒弓カリスアロー。 その両端にある白き刃を敵に向けて。 直接対峙する二人の耳に届くは鋭く風を斬り裂く音。 それはまるで死神の鎌の如く。 「――フン!」 ギラファから発せられる静かな呼吸音。 その声と共に敢え無く受け止められるカリスアロー。 担い手はギラファの双剣たるヘルターとスケルター。 周囲に響き渡る弓刃と双剣のぶつかり合う金属音。 それはまるで冥府を暗示するかの如く。 「ウゥオオォリャァァァアアアッッッッッ!!!!!」 弁慶によって叫ばれた裂帛の気合が籠った雄叫び。 その咆哮と共に振り下ろされる閻魔刀。 両の眼で見据える狙いは他でもない人類にとっての災厄たるカリス。 そのカリスはギラファと鍔迫り合いをしている最中。 すぐに弁慶に対処できる状況ではない事は明らか。 それはギラファと弁慶の二人にとって又とない機会の如く。 だがその予測を覆すはカリス。 「グッ……」 当事者の耳が捉えた音は刀が火花を散らす音には非ず。 皆が聞いた音は意外にも弁慶の苦しげな声。 皆が見た姿は意外にも弁慶の腹にカリスの蹴りが決まる光景。 皆が理解した事実はカリスが弁慶の腹を蹴って閻魔刀の斬撃を回避したという結果。 つまり弁慶の閻魔刀はカリスに後一歩のところで及ばなかった。 さらにカリスは弁慶を蹴った反動でギラファからも離れる事にも成功していた。 これまでも繰り広げられてきた攻防。 そしてまたも決定打には至らず。 因縁の勝負の行方は次の攻防に持ち越される事に。 その果てしない死闘を物言わぬ校舎だけ舞台の観客として目撃していた。 ▼ ▼ ▼ (さすがにカテゴリーキング込みの二人がかりだとこれが限界か。首輪のせいか力も制限されているこの状態では……) 一見優勢に見えるカリスではあったが、実際のところ今の状況はカリスにとっては好ましくないものだった。 ハートのA~10まで揃えたカリスでも実力者二人を相手取るのは正直厳しい。 しかも一方のギラファアンデッドは自分と同等の力を持つカテゴリーキング。 もう一方の弁慶も膂力だけならアンデッドと楽に渡り合えるのではないかと思わせる程のもの。 そのような二人といつまでも互角の戦いを演じられるほどカリスには余裕はない。 元々ギラファだけでも互角のところに弁慶まで加わっているのだから、寧ろ今のような拮抗状態は奇跡としか言いようがない。 あちらの制限が自分より重いものなのか、あるいは手加減や様子見をされているのか。 いずれにせよ今の内に決着を付けなければカリスに勝機はない。 (だがどうする? 大技でギラファを倒してもその隙に弁慶に斬られかねない! 俺はまだ戦い続けなければいけないんだ。ここで余計な負傷は避けたいが、奴らはそんな甘い考えが通じる相手ではない。 ここは一か八か多少のリスクは仕方ないと――) 微妙なバランスの中でカリスが次にどう動くべきか悩んでいたが、不意に正面からの突撃を敢行してきた。 今まで距離を取って二人で話し合っていたが、どうやらそれが終わったらしい。 それに気付いたカリスは慌てる事なく油断せずに素早く正面に冷たい戦士の目を向けた。 人間を超越した視界の中で勢いよく距離を縮めて来るのは金色の体躯が眩しいギラファ。 だが不思議な事に弁慶の姿は見つける事が出来ない。 今戦っている場所がそれなりの広さを持つ校庭ゆえに隠れる場所は皆無と言ってもいい。 必ずどこかにいるはずだと思い直し、カリスは急いで再び周囲に目を配った。 そして見つけた。 ギラファの背後に黄色のパイロットスーツが若干チラついている様子が見て取れたのだ。 (死角を利用した時間差攻撃か……だが、そのデカイ身体が仇となったな!) つまり目の前から迫って来るギラファはフェイクで、本命はその背後に控えている弁慶。 ギラファに意識を向けた自分を後ろに走ってくる弁慶が斬りかかる。 おそらくそれが二人の狙い。 カリスの脳裏は瞬時に相手の思惑を予測していた。 それならば自分はそのフェイクに掛かった振りをして弁慶を倒す。 そして間髪入れずにギラファに大技を叩きこんで決着を付ける。 (カテゴリーキング、これで決着を付けてやる!) 実のところカリスは相当焦っていた。 いつ不利になってもおかしくない緊迫した戦況とここまでの芳しくない自らの戦績。 それに加えて万全とは言えない自身の調子。 そして元の世界に残してきた栗原遥香と天音。 いつしか自分にとって大切な存在になっていた親子。 カリスが、相川始が、どんな犠牲を払ってでも守りたいと強く思う存在。 栗原親子の元に戻るために必ずこのデスゲームで勝ち残らなければならない。 それゆえに生じる絶対負けられないという焦り。 さらにもう一つ。 『なんで……! どうしてそんな、人間らしさを持ってる貴方が、平気で人を殺せるんですか!? 貴方はまだ引き返せる! 人殺しなんて絶対にさせない!』 戦いの中で二度の遭遇を果たした少女、ギンガ・ナカジマ。 真摯な気持ちを向けてくる彼女の言葉が否応なくカリスの心に波を立てていた。 その理由ははっきりとは分からない。 だからこそ正体不明の靄を振り払うかの如くカリスは向かって来るギラファに目を向ける。 冷たくもどこか余裕がない視線を受けながらもギラファは既に目の前にまで迫っていた。 「ハッ――」 そして予想通りギラファはカリスの直前でいきなり進行方向を自分から見て右に変えた。 それは傍目から見ればギラファが急に姿を消したと錯覚するほど急激なものだった。 だがそこは常人では計り知れない身体能力を秘めたカリス。 前もって予測していた事もあってその動きに動揺する事はなかった。 そしてギラファの影から現れたのは予想通りの黄色い影と猛々しい咆哮。 「食らえェェェ!!! 化け物がァァァ!!!」 (やはりそうきたか。だが、これで――ッ!?) だがそこでカリスの予想は外れる事になる。 カリスに向かってきたもの、それは大柄な黄色いパイロットスーツ――だけだった。 ▼ ▼ ▼ (フン、まんまと掛かったな、ジョーカー!) 弁慶とギラファの打ち合わせは簡単なものだった。 まずギラファがカリスに向かって行き、弁慶自身はその背後に隠れるようにして走っていく。 しかし大柄な弁慶がギラファの影で完全に隠れる事はほぼ不可能。 だがそれによってカリスは『ギラファの後ろに弁慶がいる』と認識するはず。 ――それを逆手に取る。 この作戦のポイントはカリスと激突するまでの間に弁慶がギラファの背後でパイロットスーツをあらかじめ脱いでおく事。 あとはギラファがフェイントをかけて横にずれるタイミングでパイロットスーツをカリスに投げつけるだけ。 次いでギラファが左から斬りかかると同時に弁慶が右から攻撃してジョーカーを倒せば終了だ。 如何にカリスでもいきなり目の前にそれまで弁慶が着用していたはずの黄色いスーツが現れたら弁慶本人だと誤認するはず。 おそらくカリスはギラファの背後に弁慶がいる事を知って注意をそこに向けている可能性が高い。 そこで何か仕掛けてくるとまでは考え付いても、まさかスーツを脱ぐという行為はさすがに予想外だろう。 そこに生じる隙を突いて一気にジョーカーに止めを刺す。 これが今回の作戦の概要だった。 ここで弁慶が果たす役割はパイロットスーツを脱いでカリスにぶつけて斬りかかるというもの。 この程度なら単純な弁慶でも問題なく遂行できるレベルの内容だ。 (人に仇なす鬼……いやジョーカーめ、ここで引導を渡してやる!) ▼ ▼ ▼ (――抜け殻!? そうなると、中身は……) 一瞬で目の前に飛んでくる物体がもぬけの殻と化したパイロットスーツだと理解すると、カリスはすぐさま周囲に注意を最大限払った。 どう見てもこれは自分の虚を突いて攻撃を仕掛ける策に違いない。 さすがにこの状況は予想できなかったが、それでも焦らず対処すればなんとか乗り切れるはずだ。 そしてカリスの耳に宿敵の声が届いた。 「ジョォォォオオオォォォゥゥゥカァァァァァァ!!!」 己が間違うはずもない声。 右正面から聞こえてきた声は紛れもなく因縁の相手、ギラファアンデッドのものだった。 すぐに身体が条件反射のように反応して素早くカリスアローを左手に移すと、右腰に備え付けられたホルダーへと自由になった右手が伸びる。 そして僅かの間にカリスの右手には1枚のカードが掴まれ、間髪入れずにカリスアローに装着されたカリスラウザーに通される。 それはハートの8「リフレクトモス」。 ――REFLECT―― その電子音と共にカリスの思惑通り透明のバリアがカリスとギラファとの中間に展開され、次の瞬間ヘルターによってあっさり砕かれた。 このバリアにはそのカードの名が示すように相手の攻撃を反射する効果を秘めていたのだが、ギラファ相手では力不足だったようだ。 だが完全に跳ね返す事は出来なかったが、その反動でギラファを数歩後退させる事には成功した。 今はそれで十分だ。 なぜなら本命の一撃が別の方向から迫っているからだ。 「覇ァアアァァァアアアア!!!!!」 この激闘の中でいつのまにか聞き慣れてしまった声、地の底から響くような野太い咆哮が聞こえてくる。 ギラファの協力者だと思われる弁慶と呼ばれている大男のものだ。 黄色のパイロットスーツが投げ捨てられてこの状態に持ち込まれた時に半ば予想した状態だ。 囮のギラファが自分の注意を逸らして弁慶が別方向から仕留めるという自分の考えはだいたい合っていた。 実際はそこにさらに予想外の行動を加えられて備えは万全ではない。 だが敵が仕掛けてくる手に対して随時正しい対処法を導くなど正直難しい。 だから今は出来る事をするだけだ。 そのためなら自分はどんな事でもしてみせる。 今はっきりしている事は唯一つ。 ここでむざむざと殺されるわけにはいかないという事だ。 「――ッ!!」 ギラファの行方を確認すると、カードをラウズした勢いも加えて反時計回りに身体を回す。 その途上でこちらに向かって投げられていたパイロットスーツを回転の勢いのままに両断。 そのまま勢いを維持したまま身体を半回転。 するとそこには袈裟がけに斬りかかってくる弁慶の姿。 もう閻魔刀の刃がカリスの命を断つのに1秒も必要ない。 だがカリスは決して諦めてはいなかった。 緊迫した空気。 一瞬の躊躇い。 そして決意。 カリスは何の迷いもなくカリスアローを持つ左腕を―― ――閻魔刀と交差させた。 ギィィィイイイイイ―――――ッッッッ―――――!! 弁慶の閻魔刀とカリスアローが。 弁慶の閻魔刀と左腕が。 弁慶の覚悟と自らの覚悟が。 己の信念を賭けて互いに軋り合う。 そこにあるのは凄まじいという言葉が生温いと思えるほど異質な音と火花。 ふと視界に入った弁慶は表情がまるで信じられない光景を見ているかのようだ。 (人間なら、当然の反応だ……) カリスが行った事は単純である。 それは弁慶の閻魔刀に対して左腕を斜めに当てるというもの。 普通の人間ならこのような事をすれば左腕は間違いなく使い物にならなくなる。 だが幸か不幸か自分は人間ではなくアンデッド――ジョーカーだ。 正面からでは無理でも斜めから受ければ力を逸らす事は可能だ。 もっとも左手に過度の衝撃が掛かる事に変わりはないが、この状況を凌ぐにはこれしかなかった。 そしてそれは上手くいった。 (ここで――ッ!!) この瞬間先程とは逆に弁慶は虚を突かれている。 追撃をかけるには今しかない。 空いている右手を戦闘の邪魔にならないように架けていたデイパックの中に突っ込み目的の物を取り出す。 それはまるで吸い寄せられたかのようにスムーズにデイパックより出て来てくれた。 それはまさしく輝く黄金の剣と呼ぶに相応しかった。 まるでカブトムシを模したかのような荘厳な意匠。 その剣の名はパーフェクトゼクター。 「…………!!」 その黄金の剣を無言で振り抜く。 下からの斬撃に弁慶の反応は僅かに遅れ、結果その斬撃を食い止める事は出来なかった。 パーフェクトゼクターは弁慶の肉を裂き、カリスに返り血を盛大に浴びせた。 血に塗れたカリスには罪悪感など無かった。 これで二対一が一対一になり少しは楽になると、カリスはこの時ばかりは僅かばかり安堵した。 だがそれは早計だった。 実に恐ろしきは数々の逸話を残した荒法師の名前を授けられた男――武蔵坊弁慶。 「……グッ……これ、くらいで……」 「な――!?」 信じられない事に弁慶は身体にパーフェクトゼクターの刃を喰い込ませたままカリスの腕を掴んで剣の進行を止めていた。 既に斬られた箇所から血が湧き出て、無地の僧衣に紅い模様を彩っている。 弁慶の膂力がアンデッドのものと同等であるとは思っていたが、まさかここまでとは予想外であった。 「チッ――、離せ! このままでは――」 その瞬間背後からはっきりと分かる程の殺気を感じた。 誰が発しているのかは振り返らずとも分かった。 今自分の背後にいるのは先程リフレクモスで退けたカテゴリーキング、ギラファアンデッドに他ならない。 そう考えていると耳に刃で風を斬る音が聞こえてきた。 なんとか対応しようにも弁慶に腕を掴まれたままではどうする事も出来ない。 カリスは己の最期を覚悟した。 (……ごめん、遥さん、天音ちゃん。俺は君達を――) だがギラファの双剣がカリスに届く事はなかった。 「トライシールド!」 新たに聞こえた声に、背後より覗く魔力光に、カリスは覚えがあった。 それはこの地で三度目の邂逅を果たした者。 初めて出会った時には殺そうと襲いかかり、二度目に出会った時には気絶していたところを助けてくれた少女。 そして三度目の今は、再びこうして命を救ってくれた。 「……ギンガ・ナカジマか」 ギンガ・ナカジマ。 三度目の邂逅になる少女が一陣の風と共に戦いの舞台に躍り出た。 ▼ ▼ ▼ 「始さん!」 ギンガがこうして戦闘に割り込めたのはギリギリだった。 当初の予定より大幅に遅れて学校に到着した時、そこで目にしたものは衝撃的なものだった。 それは身動きが取れない黒い鎧の戦士を背後から金色のクワガタムシの怪人が今まさに斬りかかろうとしているところだった。 先程の一件であの黒い鎧の戦士カリスが相川始であり、また相当な実力の持ち主である事も知っている。 だが今カリスは血まみれの僧に腕を掴まれて満足に動けない様子である。 あのままでは背後の金色の怪人に為す術もなく殺されてしまう事は火を見るよりも明らかだ。 だからコルト・ガバメントと槍を護身用にインテグラに渡して単独で現場に急行する事を決意した。 インテグラもギンガの心情を慮ったのか寧ろ早く行けとばかりに背中を押した。 最初から全力でダッシュして一気に校門をくぐり、校庭に入るともう既に猶予はほとんどなかった。 自らが習得した防御魔法の内で最も強固なものを選択して術式を展開。 そこでギンガは初めて怪人を間近で見た。 (――ヤバい!?) 防御魔法の構築と同時に激突直前でカードに蓄積された魔力を開放してトライシールドを強化。 そうする事で怪人の斬撃をなんとか防ぐ事ができた。 もしいつも通りの強度であれば防ぐ事は出来なかっただろう。 (でも依然として状況は悪い。なんとか始さんが身動きを取れるようになってくれないと……) 今はギンガがカリスの背後を守っているが、それもいつもまでもこうしている訳にはいかない。 最善の方策はカリスが無事にここから離れてお互い話し合う状況に持ち込む事だが、どうもそれは困難に思える。 おそらくこの金色の怪人は始が言っていたアンデッドという生物に違いないだろう。 当事者でない自分でもアンデッドの放つ異常な殺気はここへ来た時から嫌というほど感じている。 だがそんなギンガの心配は無駄に終わった。 思い悩むギンガがふとシールドの支えになっている右手を見ると、視界に校門が入った。 そしてその校門には一足遅れて到着したインテグラの姿と―― 「――インテグラ卿!! 避けて!!」 ――その背後から接近する謎の物体の姿があった。 その事に気づいたギンガは思わずインテグラに声をかけていた。 突然の叫びで目の前のアンデッドが何やら驚いたようだが気にしてなどいられない。 なぜかあれは危険だという得体の知れない予感がしたのだ。 その声が聞こえたのかインテグラは間一髪背後から迫っていた影の突撃を躱す事ができた。 そこで謎の影が何なのか判明した。 青い楕円形のボディーと中央の黄色いセンサー。 間違いなくジェイル・スカリエッティが開発したガジェットドローンⅠ型だ。 (なんであれがここに、もしかして誰かの支給品? それとも――) その時ギンガの視界の隅でガジェットが――爆発した。 ▼ ▼ ▼ それは突然の出来事であった。 大幅なタイムロスのせいで学校が見える付近まで来た時には既に始は戦闘の最中だった。 とりあえず予想通り学校に始がいた事は僥倖であった。 これで見つからなければ再び無駄足に終わっていたからだ。 ふと隣のギンガを見ると始の事が心配で今にも飛び出して行きそうな雰囲気だった。 こういうところは少し未熟さが残っているようだが、それはこの際とやかく言わなかった。 ここから学校までの距離はもうそれほどない。 だからギンガが先行すると提案してきた時もすぐに賛成した。 コルト・ガバメントと槍を預けていったのはギンガなりの配慮か、もしくは心のどこかで銃や槍を持つ事に躊躇いがあるのか。 そんな事を考えつつ一足遅れて学校に到着した。 目の前ではギンガと黒い鎧の戦士(おそらく相川)が背中合わせで各々金色の怪人と血まみれの僧と対峙していた。 一目見たところ状況は膠着していて迂闊な手出しは控えた方が良さそうな気がした。 だから性急に行動せず状況を把握しようとした時―― 「――インテグラ卿!! 避けて!!」 ――ギンガの警告が耳に届いた。 目的地しかも目的の人物が見つかった事でどこか気が緩んでいたのだろう。 いつのまにか背後に迫っていた謎の浮遊物体にこの時までまるで気付いていなかった。 それに加えて全身の傷は未だ癒えず身体の感覚がやや鈍っていた事も発見の遅れの一因であった。 だがギンガの叫びに助けられた事は事実であり、そのおかげで背後からの物体を避ける事ができた。 「ん? 反転するか……」 だがそれで終わりではなかった。 謎の物体は脇を通り過ぎてからしばらく進んで停止すると、ゆっくりと進行方向をこちらに修正してきた。 どうやらこちらを狙っている事は明らかだろう。 それならば迎え撃つだけだ。 無表情でコルト・ガバメントの銃口を謎の物体に向ける。 そして中央の黄色いセンサーに狙いを定めると、一切の躊躇なく引き金を引いた。 そこを狙った理由はそこが若干透けていて内部の構造が微かに見えていたからだ。 そこを撃ち抜けば内部破壊で機能が停止すると考えに至ったからでもある。 だが結果としてそんな考えは無駄に終わった。 銃弾が当たった瞬間――全ては爆発の炎と煙に蹂躙されたからだ。 ▼ ▼ ▼ Back 銀色の夜天(後編) 時系列順で読む Next Round ZERO ~ JOKER DISTRESSED(後編) Back 銀色の夜天(後編) 投下順で読む Back Knight of the Rose(後編) アーカード Back Don t lose yourself(後編) インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング Back Don t lose yourself(後編) ギンガ・ナカジマ Back Don t lose yourself(後編) 相川始 Back Don t lose yourself(後編) 金居 Back Don t lose yourself(後編) 武蔵坊弁慶 Back Burning Dark(後編) アンジール・ヒューレー
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デズモゾーリャに逃げられてしまった戦士たちが自分たちの事とこれからの事を話し合っていた…。 お互いの自己紹介がすみ、一段落ついたところで竜也の携帯電話が鳴り出した。 竜也「ん、親父から?何だろう?」 浅見渡「竜也か?今何処に居る?」 竜也「いま出先だけど…何の用?」 渡「うむ、バルカンベースでバダムに対抗する為の会議が開かれるのだが、残念だが私はまだ動ける状態じゃない…。 だから私の代理として、バルカンベースに行ってもらえないか?」 竜也「親父の代行で、会議に出ろって?」 渡「シティガーディアンズ内部が混乱していて、建て直しにはまだ時間がかかる。 情報が錯綜しているから、状況をまとめなければならん。お前たちタイムレンジャーにとっても、情報は必要だろう…そしてこの話は浅見家云々の話とは別次元の問題だ」 竜也「わかったよ…親父、あんまり無理すんなよ」 会話が終わり、竜也が電話を切る 竜也「俺たちは現状を知るために、バルカンベースでの会議に出席します。できれば、皆さんも一緒に来てもらいたいんですが…」 幸人「そうだな、一度情報をまとめないと動きにくいだろうしな」 走「じゃ、俺たちも着いて行きます」 竜也「バルカンベースへは俺とアバレンジャーの人達と行ってくるから、ユウリ達はコセイドン号に先に戻っていてくれないか?」 バルカンベースに行く途中、竜也はユウリ達タイムレンジャーのメンバーに提案した。 ユウリ「どうして?」 竜也「バルカンベースで会議は現在の状況を確認とアバレンジャーの人達の紹介だけだから、俺一人でも大丈夫だろ。 それよりも、コセイドン号で、時空破断装置作動に備えていた方がいいと思うんだ」 アヤセ「そうだな、敵に強襲をかける時の人数は多い方がいいな」 アヤセは、竜也の提案に賛成した。 ドモン「うむ。俺も、その意見に賛成だ。それにバルカンベースで おっさん達と顔をつきあわせるより、時空刑事のお嬢さん方と親睦を深めたいしな」 ベシ ベシ ベシ ユウリ「そうね。じゃあ、私達は先にコセイドン号に戻ってるわ」 ユウリはドモンにビンタを喰らわせて言った。 竜也「じゃあ、頼むな」 ユウリ「ええ」 ルチ将軍の008全面攻撃によって何もする事の出来ないバルカンベースの入り口前に、サー・カウラーの一味が辿りついた。 「誰だ!」 「今は立ち入り禁止だ!」 二人の警備兵が三人に銃を突きつける。 「ムン!」 カウラーはそのうちの一人に電磁ムチを振るった。 「フン、他愛も無い」 カウラーは倒れた警備兵を見ながら呟いた。 「よ、よくも相棒をやってくれたな!」 「まだやるというのか?」 もう一人の警備兵は手が震えながらも銃を構える。それにも構わずカウラーは電磁ムチを振るう。 「待て!」 その声と共に一同の目の前に平和守備隊本部から来た弾北斗が現れた。 「まだ相手がいたのか!?」 「誰だ!」 カウラーとガルタンがに弾に声を上げる。 「バルカンベースには一歩も入らせるものか、ダイナマン!」 弾はダイナレッドへと変身した。 「ここは俺に任せてくれ」 「す、すまない」 ダイナレッドは警備兵を逃がす。 「カウラー、ガルタン、ここは俺に任せろ」 「俺も大勢で一人をいたぶるのは趣味では無いからな」 カウラーとガルタンは金居に言われるまま、内部へ向かっていった。 「貴様の相手はこの俺だ」 「こいつ、異様な力を持っているぞ」 金居はギラファアンデットへと姿を変え、ダイナレッドに近づいてくる。 「くっ、ダイナ剣!」 「ほう、貴様も剣を使うのか…」 咄嗟にダイナレッドは二本のダイナ剣を構るが、 対するギラファもヘルターとスケルター、二本の剣を構える。 夕日をバックにし、剣と剣とぶつかり合いが始まった。 弾がバルカンベースへ向かった後、平和守備隊本部では剣崎たちが橘の回復を待っていた。 「剣崎君、見てよ!」 「虎太郎、こんな所で大きな声あげるなよ!」 「アンデットサーチャーがまた見れるようになったよ!」 「本当か!?」 虎太郎が慌てた表情で剣崎にノートパソコンを見せる。 「ほら、見てよ」 「本当だ、奴らに何かあったみたいだな」 太陽フレアによって超時空ネットワークが一時的に停止したことによりアンデットサーチャーも再び仕様できる様になった。 「剣崎君、バルカンベースの位置に凄い反応があるよ!」 「まさか金居たちがバルカンベースを!?」 そのまさかであった、サー・カウラーの一派が再起をかけ、バルカンベースを襲っていた。 「虎太郎、始を呼んでくる!」 「剣崎君、ちょっとまってよ!」 二人は始にアンデット出現を知らせる為、部屋を出た。 数分後、本部の出入り口で剣崎と始がバルカンベースへ向かう準備をしていた。 「睦月、お前は橘さんを頼む」 「剣崎さん、相手はあのギラファアンデットですよね、だから僕も行かなければ」 「睦月、まだ、橘さんも目覚めていない、それにアンデットに襲われる恐れもあるからここに残っていてくれ」 「剣崎さん…わかりました!」 睦月は剣崎に言われ、治療中の橘を守ることを決意した。 ヘルメットをかぶっていた始に虎太郎が駆け寄る。 「始さん、剣さん達には言わなくていいの?」 「剣さん達も自分のやるべき事をやっているし、これは俺達の戦いだ、だからあの人達を巻き込ませるわけには行かない」 始は虎太郎に静かに話す。 「始、行くぞ…」 「ああ…」 二人はそれぞれのバイクでバルカンベースへ向かっていった。 バルカンベース内に非常警報が鳴り響いた。 「何ごとだ!?」 「侵入者です!モニターにだします」 嵐山に応え、隊員がモニターに侵入者を映し出した。 「あれはサー・カウラー!」 「あの電波ジャックを起こした奴か」 モニターに映し出された黒衣の男を見て烈と吾郎は叫んだ。 「あれだけ仮面ライダーに恥をかかされたのにわざわざここへ来たのか」 イチローも声を上げる。 「今度はこのバルカンベースを狙うのか。そうそうに退出してもらおう」 そう言うと、嵐山は赤いスイッチをおした。 「ふっ、骨のない奴等ばかりだな」 守備兵の倒しつつも奥へと進むサー・カウラー、ボー・ガルダン。 と、突然、壁が降りて来て二人を閉じ込めたかと思うと 「うわっ!」 床から突風が吹き上がり、二人を外へと排出した。 突風と共に二人は海岸に吹き飛ばされた。 だが、暗黒のプロフェッショナル達は難無く着地した。 「くっ、まさかこんな仕掛けがあるとはな…」 「ここまでだ、サー・カウラー!」 「何?」 忌々し気にバルカンベースを見上げるカウラーの前に、白、赤、青の3つの光球が飛来。 「ちっ、銀河連邦警察の宇宙刑事か…」 カウラーの前に降り立った、三人の宇宙刑事を見てカウラーは鞭を構えた ダイナレッドとギラファアンデットとの戦いはパワーの差もあってかギラファの方が有利であった。 「くっ、まともにやりあったら奴の思う壺だ…」 「ふふふ、これで終わりか、ならばこれでもどうだ!」 ダイナレッドは距離を離し戦おうとするがギラファは手榴弾を投げつけた。 「これで終わりか…」 ダイナレッドが覚悟を決めようとしたとき人影が手榴弾に迫り、手榴弾が真っ二つになった。 「まだ邪魔者がいたか!?」 ギラファが人影の方を向くと刀を構えたバルイーグルが立っていた。 「シャーク!」 「うりゃぁ!」 更に猛スピードでバルシャークとバルパンサーが猛攻を加える。 「誰だ貴様らは!?」 ギラファが血相を変え三人に叫ぶ。 「教えてやろう、バルイーグル!」 「バルシャーク!」 「バルパンサー!」 「輝け!太陽戦隊!」 「サンバルカン!」 「よし、一気にトドメを刺そう!」 「OK!」 バルイーグルが他の二人に止めを刺すことを促す。 「ほう、威勢だけはいいようだな…」 ギラファも再びヘルターとスケルターの二本の剣を構える。 「喰らえ、ニューバルカンボール!」 「なんの、こんな攻撃!」 「グォォォォ!」 サンバルカンの必殺技、ニューバルカンボールがギラファに直撃し、そのままギラファは倒れた。 「倒したのか…」 ダイナレッドがギラファの方を向くと何とギラファが再生を始めた。 「あいつ、倒したはずなのに…!」 バルパンサーが指を刺しながらギラファを見る。 「俺はアンデットだから封印されない限りこの通りさ、フハハハハ…」 再生を終えたギラファが不気味な笑みを浮かべる。 「倒す手立ては無いのか…!?」 バルイーグルが落胆する。 ダイナ「くそっ、何か倒す手段はないのか?」 ギラファ「さぁ、覚悟はいいですか?」 シャーク「んっ、待てよ。倒せないなら、この地球から出て行ってもらえばいいんじゃないか?」 イーグル「んっ、そうか!」 パンサー「そうだな」 ギラファ「何だと?」 イーグル「サンバルカンロボ発進!」 シャークの閃きにピンときたイーグルはサンバルカンロボを発進させた。 「うぉっ!」 轟音と共に、降り立ったサンバルカンロボに驚くギラファ。 イーグル「サンバルカンロボ、奴を捕まえろ」 イーグルはオートコントロールで、ギラファンを捕まえさせた。 ギラファン「えーい、離せ!離さんか!」 捕まえられ、必死に抵抗するギラファ。 だが、いくら最強のアンデットと言えど、巨大ロボットの前では無駄なあがきであった。 イーグル「よし、行くか」 シャーク、パンサー「おう」 ダイナ「どうするんだ?」 イーグル「奴を宇宙にすててくるのさ」 ダイナ「なるほど」 イーグルはダイナレッドに答えると、サンバルカンロボに乗り込んだ。 イーグル「よし、発進だ!」 シャーク・パンサー「おう!」 ギラファンを掴んだままサンバルカンロボは飛び立った。 猛スピードで、宇宙空間へ飛び立ったサンバルカンロボ。 手に掴んでいたギラファは、大気圏から宇宙へと出る際の高熱により炭化していた。 イーグル「よし、ここでいいだろう」 シャーク「ああ」 サンバルカンロボは、炭化したギラファを握りつぶし塵にすると、宇宙空間にばらまいた。 イーグル「いくら不死身と言えど、これなら容易に再生はできないだろう」 宇宙空間に散って行くギラファを見ながらイーグルは言った。 シャーク「それに再生できたとしても、-270℃の空気のない宇宙空間、死ぬ事もできないまま永遠に苦しみながら彷徨い続ける、死ぬより辛い事だな…」 パンサー「そう言うと、俺達極悪人みたいだな」 イーグル「まぁ、いいさ。それより地球に戻るぞ」 サー・カウラーたちの目の前に突如として突風が起こしながら何かが横切った。 「な、何が起こったんだ…」 ギャバンがその突風の方向を見ると白い翼竜が着地しようとしていた。 「人間、ここに邪悪な気配があったゲラな」 「ああ、あの黒い服の二人の男の様だな、トップゲイラー」 トップゲイラーと呼ばれた翼竜の横には白いマスクとスーツの戦士が立っていた。 「お前は一体…」 ギャバンが白い戦士に聞く。 「俺はアバレキラー、お前達に協力してやろう、トゥ!」 アバレキラーはギャバンに頷くと宇宙刑事の方にジャンプで近づいた。 「まずは貴様から始末してやろう」 カウラーはアバレキラーに鞭を構えた。 「こいつらなんて俺一人だけで十分だ、ときめくぜ…」 「だ、大丈夫なのか…」 「黙って見ていよう」 エイリアンハンターに一人で向かうアバレキラーを見てシャイダーが不安がるが、シャリバンに見ていよう促される。 仲代はバルカンベースにうごめく邪悪な力を感じ取り、凌駕たちに先立ってバルカンベースに来たのであった。 「俺が相手だ…うおおお!」 「ガルタン、よせ」 ガルタンがカウラーの静止も聞かず二本のガルドロッドを構えアバレキラーに迫る。 「遅い…!」 アバレキラーはウイングペンタクトを構え猛スピードでガルタンを斬りつける。 「馬鹿な…この俺が…」 ガルタンはそのまま倒れる。 「ガルタン!おのれ!」 カウラーはガルタンを倒された怒りに震えアバレキラーに鞭を振るう。 「アバレモード!」 アバレキラーはアバレモードへ姿を変えカウラーの鞭を跳ね返す。 「くっ…」 「喰らえ!」 アバレキラーが一瞬でカウラーに近づき鋭い爪でカウラーを斬る。 「まさか…こんな奴に負けるとは…」 カウラーは倒れ、そのまま爆発した。 「つ、強い…」 シャリバンがアバレキラーを見て言葉を失った。 宇宙刑事の三人は変身を解き、同じく変身を解いた壬琴に近寄る。 「一体あんたは何者なんだ?」 「まぁ、ただの医者だがな…」 烈の質問に壬琴が答えるが、そっけなく答える。 「ただの医者がなんであんな奴を倒せるんだよ!」 電があたふたとした表情で聞く。 「ときめきたい、からとでも言っておこう」 「ふざけないでください、後はバルカンベースでゆっくり聞きますので」 大に促され、一同はバルカンベースへ戻っていった。 「終わったな」 「弾君、聞こえるか弾君?」 サンバルカンロボが去って行った空を見上げているとダイナブレスから夢野博士の声が聞こえてた。 「あっ、博士。お久しぶりです」 「ああ、それはそうと、どうして君がここにるんだ?」 「ここにって…えっ博士、バルカンベースにいるんですか?」 発明所にいるはずの夢野がバルカンベースにいる事に弾は驚きの声を上げた。 「私はバダムに誘拐された所を救い出されてバルカンベースに来たんだ」 「そうだったんですか」 「で、君は?」 「はい、実は研究所で大変な事態がおきまして…あっ、それよりバルカンベースに向かった連中はどうなったんですか?」 「それなら、別のヒーロー達が撃退した」 「そうですか、それは良かった。じゃあ、詳しい事はそちらで話します」 「ああ、待っているよ」 夢野との交信を終え、弾がバルカンベースに向かおうとすると所に、2台のバイクが走り込んで来た。 そう、この二人はギラファを倒すためにやって来た剣崎と始めであった。 「途中で消えたけど、確か、ここのはずだよな」 「ああ、至る所に戦いの後の形跡があるし…」 「あっ、あそこに弾さんがいるから聞いてみようぜ」 「そうだな」 そう言うと、二人はバイクから降り弾の元に駆けて行った。 「君達は平和守備隊の基地にいた仮面ライダーじゃないか」 弾は二人を見て驚く。 「弾さん、ここに来ていたアンデッドはどうしたのでしょうか?」 剣崎が弾にギラファのことを聞く。 「アンデッド?あの怪人なら片付けたよ」 「片付けたって、あいつは俺達じゃなきゃ封印できないはず。どうやって?」 「ああ、あの怪人は宇宙に捨てたんだよ」 「宇宙に捨てた?」 ギラファンを宇宙に捨てたと聞き二人は驚き唖然とした。 「ああ、不死の力を持っていて倒せないんで宇宙に捨てたんだよ。宇宙に捨てれば帰ってこれないからね」 「始、どうしよう」 「俺に聞くな」 予想だにしていない事態に二人は混乱した。 「とりあえず、戻って橘さんに相談するか」 「…そうだな」 「んっ、どうしたんだい?」 「いやぁ、それだったら、一応剣さん達に報告したいと思うので帰らせてもらいます」 二人はそう言うと、戻って行った。 「それじゃあ、俺も行くとするか」 二人の帰って行く姿を見た、弾はバルカンベースへと足を向けた。 その頃、バルカンベースにはギラファを投げ捨てたサンバルカンロボと凌駕たちを乗せたシティガーディアンズの装甲車が到着した。 地球平和守備隊本部の医務室では虎太郎と睦月が治療中の橘を見守っていた。 「剣崎君、どうして僕達を…?」 「虎太郎さん、それは俺も同じですよ」 「どうせ、僕達は役立たずだと思っているんだろう…」 二人が剣崎と始が自分達を役立たずの様に思っているだろうという事で話していた。 「そんな事はないわ」 医務室に電撃戦隊の渚さやかが入ってきた。 「渚さん…」 「剣崎さんと始さんは二人に橘さんや広瀬さんを守って欲しいと思ってあなたたちを残したの。だからあなた達は胸を張りなさい!」 さやかは母親の様に二人を諭した。 「ありがとうございます!渚さん!」 「まあまあ…」 虎太郎は思わずさやかに両手で握手をした。 と、その時、警報が鳴った。 『侵入者があらわれました、侵入者はラボの方に向かっています』 「警報…!」 さやかが虎太郎の手を振り解き医務室を出た。 「あの…渚さん…!」 二人もさやかの後を追って医務室を出た。 ラボについた三人は思わぬ光景を見た。 「あ、あの化け物は…」 睦月がラボにいた不気味な怪物を見て驚く。 「あんた、何者なの!」 「俺は冥王ジルフィーザ、ここにある代物を頂に来た」 さやかに尋ねられるままジルフィーザは答えた。 「代物って、まさか…!」 虎太郎がジルフィーザのいう代物に気づく。 「後ろにいるのは…広瀬さん!?」 睦月がジルフィーザの後ろで倒れている栞に気づく。 「この部屋にはこの女しかいなくてな、おかげで簡単に手に入れる事が出来た」 「やっぱり、グレイブのベルトだ!」 虎太郎の言う通り、ジルフィーザの手にはグレイブのベルトが握られていた。 「こいつがあればあの男を倒せる、貰っていくぞ」 「そうはさせるか!変身!」 『オープンアップ』 ジルフィーザがその場を去ろうとした時、睦月がレンゲルに変身した。 「さやか、大丈夫!」 「麻衣、あの化け物がグレイブのベルトを盗んだの!」 電撃戦隊の他の四人が駆けつけてきた。 「みんな、行くぞ!レッツ、チェンジ!」 飛竜の合図で五人はチェンジマンに変身した。 「ほう、これだけの数とはいえ俺に勝てると思うのか」 六人のヒーローが並んだ姿を見てジルフィーザが見得を切る。 「俺が行きます!」 『ブリザード』 レンゲルがブリザードのカードを装填し、ジルフィーザを凍らせた。 「ムン!」 「そんな…」 ジルフィーザは一時的に凍ったが、即座に元に戻った。 「今度は俺の番だ、デビルストーム!」 ジルフィーザが必殺のデビルストームを六人に放った。 「うわぁぁぁ!」 「きゃぁぁぁ!」 六人はでデビルストームを喰らい、変身が解かれ、倒れてしまった。 「ん…ん」 睦月が目を覚ますとそこには倒れてる栞しかいなかった。 「広瀬さん、起きてよ!」 「え…きゃぁ!」 睦月は栞をゆすり起こすと栞が驚いた。 「睦月君、まだあの化け物はいるの!?」 「そ、それが…奴にグレイブのベルトを盗まれてそのまま僕達の前から消えたんだよ」 虎太郎があわてた表情で栞に話す。 「広瀬さん、大事なベルトを取られて本当にすみませんでした」 「渚さん…でもあなた方が大丈夫でしたから安心したわ」 さやかが栞に詫びる。 「で、橘さんは?」 「そうだった、橘さんだ!」 麻衣に橘の事を聞かれ、虎太郎が橘の事を思い出す。 「そうはしていられない、医務室へ急ごう!」 飛竜は一言で一同は医務室へ向かっていった。 医務室へと来た睦月たちは無事だった橘を見てほっとした。 「奴の目的はベルトだけだったのか」 翔が橘を見てジルフィーザの行動に疑問を浮かべた。 「ああ、そうみたいだな…」 勇馬が翔に頷いた。 「ああ、ベルトの事をどう剣崎君と始さんにいえばいいか、僕どうすりゃいいだよ!」 虎太郎が半狂乱状態になる。 「虎太郎、落ち着きなよ、橘さんが無事だったんだから」 栞が虎太郎を止める。 「諜報部は今メフィストさんを探しているし…」 飛竜が深刻な顔になった。 「そうですね、今は橘さんの回復と剣崎さんと始さんが帰ってくるのを待ちましょう」 睦月が一同に提案した。 その頃、関心のジルフィーザはとあるビルの屋上でカードを見ていた。 「俺に残されたのはこの一枚のゴレムカードのみ、奴を倒すにはこれを使うしかない…そして、このベルトがある、これを使えば…」 彼は盗んだグレイブのベルトを見て復讐心に燃え上がった。 「見ていろ、インパクター・ロギア、貴様を倒すまでは俺は死なん!」 彼の仇敵、それは最愛の弟、コボルダの仇であるインパクター・ロギアだった。 そして彼はそのままロギアを倒す為、その場を去っていった。 都内の大型喫茶店、 そこに蒲生譲二が月から戻ってきた星山秀一と炎のドライブの三人の話を聞いていた。 「いろいろとあったんだね」 「ああ、おかげであのトンマにあったけどな…」 「て、てめぇ、誰がトンマだってぇ!」 天馬が秀一に突っかかる。 「トンマにトンマと言って何が悪い、それにお前の名前を呼んでいない」 「ちょっと、二人とも、譲二さんの前で大人げ無いわよ!」 「ハハハ、おねぃちゃん、一枚上手だねぇ」 未加が天馬と秀一の頭をパシッっと叩き、それを見た剣が派手に笑った。 「何故俺まで…」 秀一が後ろめたい表情でつぶやく。 「みんな、あれを見ろ!」 「一体、何があったんだ!?」 譲二が外を指差す。 外では謎の竜巻と雷が人々を襲っていた。 「よし、見に行こう!」 秀一に言われ一同は外へ出た。 「みんな、あれを見てよ!」 剣が指を刺した所には冥王ジルフィーザが立っていた。 「フフフ…インパクター・ロギアめ、探したぞ、我が弟、コボルダの仇を討たせてもらおう」 「貴様は一体何者だ!」 譲二がジルフィーザに叫ぶ。 「俺は冥王ジルフィーザ、貴様らをおびき寄せるためにここの人々を襲ったのだよ」 ジルフィーザが自信満々に高笑いする。 「どうやら俺にやられに来たようだな…」 「そうやって余裕を見せているのも今のうちだぞ…」 秀一はジルフィーザに見得を切り、ジルフィーザもニヤリと笑う。 「なら俺も協力させてくれ、奴には俺も借りがあるからな」 「どこまでもトンマだな、くれぐれも足を引っ張るなよ」 天馬もジルフィーザに向かう。 「譲二さんたちは逃げ遅れた人々を頼む、行くぞ!」 「わかった、未加さん、剣君、手伝ってくれ」 「わかったわ」 三人が救出の為、その場を立ち去ると再びジルフィーザの方を向いた。 「行くぜ、装着!」 天馬はナックルライザーを天に掲げ、秀一は変身用のカード、アルカニスでそれぞれセイザータリアスとインパクター・ロギアに変身した。 「貴様たちに面白い代物を見せてやろう…」 ジルフィーザがラウズカードとグレイブのベルトを目の前に出した。 「奴め、何をする気だ!?」 「あれって仮面ライダーのベルトじゃないかよ!」 タリアスがベルトを指差しながら驚く。 「このベルトさえあれば貴様らなんぞ一捻りだ…うおっ」 グレイブのベルトをつけようとすると電流が走りジルフィーザは吹き飛ばされる。 その反動でグレイブのベルトはジルフィーザの手から離れ地に落ちる。 「くっ、こいつは俺に扱えないというのか!?」 ジルフィーザが立ち上がりながら無念の言葉を吐く。 「一気に止めを刺そうぜ!」 「遅れだけは取るなよ」 タリアスに言われるまま、それぞれの武器、ファルコンボウとホロスナイパーを構え必殺技の体勢に入った。 「行くぞ、マックススティンガー!」 「喰らえぇぇ、バーニングファルコン!」 同時に二人の必殺技がジルフィーザに放たれた。 「何故だ…この俺が…グォォォ!」 ジルフィーザは耐えられず、そのまま爆発を起こし砕け散った。 「ロギア、これで終わりだな」 「ああ、手ごわい相手だったな…」 その爆発を見ながら二人は変身を解いた。 「おーい!」 戦いが終わり、譲二たちも二人の前にやってくる。 「もう倒したの?」 「ああ、あたぼうよ、手ごわい相手だったけどな」 天馬が未加に聞かれ調子に乗って答える。 「ふっ、やっぱりトンマだな…」 「なんだとぉ!」 秀一に言われ、天馬はまたも頭にくる。それを見て笑う一同。 「ところで君達はこれからどうするんだい?」 譲二が一同に聞く。 「そういえば新潟の妙高山って所に護国聖獣と呼ばれる怪獣が眠っていると聞いたことがあります」 「怪獣か…暴れだしたら厄介だな」 未加が護国聖獣の事を話すと、秀一が怪獣と聞いてクールな表情で答える。 「秀一さん、護国聖獣はその名の通り、平和の為に戦う怪獣だから安心して」 未加が秀一に答える。 彼女は大学のゼミで護国聖獣の事を聞いて以来、興味を持つようになった。 「悪用されたら困るからそこ行ってみようぜ!」 天馬が新潟へ行くこと提案し、一同は一路新潟へ向かうことになった。 すっかり日も落ちた頃、ギラファアンデッドを封印する事ができなかった剣崎と始めが平和守備隊本部に帰って来た。 「おい、一体どうしたんだ?」 多数の車両が行き来し、守備隊の兵士達も銃を持ち至る所に立ち騒然としているのを見て、剣崎は驚いた。 「とにかく、中に入ってみよう」 「ああ」 二人は本部に戻って行った。 剣崎と始は睦月と虎太郎から事情を聞いていた。 「そんな事が…」 「剣崎君、その化け物は無茶苦茶強くてさぁ、グレイブのベルトを取られたんだよ」 「何ぃ、睦月、お前がいて何で奴を倒せなかったんだよ!」 虎太郎が今まであった事を二人に話すが、剣崎が睦月に怒鳴りつける。 「やめろ、剣崎、所で橘さんは大丈夫だったのか?」 「奴は橘さんでは無く最初からベルトを狙っていたんだよ」 「何だって…!?」 睦月がベルトの件に関して言うと、二人は愕然とした。 「虎太郎、ところで広瀬さんは?」 「医務室で治療を受けているから安心して」 虎太郎が剣崎に聞かれると、広瀬が治療を受けている事を言った。 その頃、ロギア達とジルフィーザの戦いが行われていた場所には、グレイブのベルトがただ虚しくポツンと転がっていた。 「ほお、このベルトは…」 そのベルトの目の前に一人の男が足を止めた。 「よし…あの憎きライダー共を始末することができるぞ」 男はベルトを拾うと何処かへ去って行った。 サー・カウラー襲撃の騒ぎが収まると同時に、バルカンベースには大魔神とダイレオンが到着ようとしていた。 「よし、やっと着艦許可が出たか」 ジャスピオンは美都を通し、嵐山長官に着艦許可を要求しており、やっとの思いで許可が下りた。 「でも大魔神は目立ちません?」 と、綾奈が疑問を言う。 「何言ってんだよ、大魔神だって平和を守るために戦うヒーローなんだぜ、嵐山長官も喜んでくれるさ!」 「アンリさん…」 アンリが綾奈にフォローを入れる。 「ってそのナレーション聞いているとおいらフォロー役みたいだな、おい」 「誰に言っているんだよ?」 アンリの言葉にジャスピオンに突っ込まれる。 「そんな事言ってないで早くバルカンベースに着艦しましょう」 「そうでしたね、ハハハ…」 美都に言われ、ジャスピオンはバルカンベースに着艦した。 「侵入者だぁー!」「早く見つけろ!」 バダムの手に落ちたメルカ共和国のロボット工場では警報が鳴り響き、多数の兵士が工場中を駆け回っていた。 その工場から走って行く大きなハサミを持った一人の男がいた。 彼こそロボット管理庁から送り込まれた役人バラバラマンであった。 「課長、こちらです!」 「バラバラギャル、すまない!」 河原から彼の部下であるバラバラギャルが呼ぶ。それに応えバラバラマンは河原に向かった。 「なんとか時限爆弾は全て仕掛けてきた」 「そろそろ時間です」 バラバラギャルが腕時計を見ると、二人で工場の方を見た。そして工場が大爆発を起こした。 「課長、成功ですね」 「ああ、あとは高円寺博士に知らせるだけだな」 「ええ、急いで向かいましょう!」 二人は高円寺博士のいる場所へ向かって行った。 デビラーのいる首相室に兵士が急いで入ってきた。 「首相、ロボット工場の一軒が爆破されました!」 「何を言うのかね…」 「は…」 デビラーの言葉に圧倒される兵士。 「ここはロボットの国、メルカだ。たかが一軒爆破されても工場は国中にある。それに我々にはアトムやカラミティ、鉄面党ロボットもあるのだよ」 デビラーはニヤリとしながら兵士に話す。 「既に世界が我々に跪こうとしているのだよ。フアッハッハッハ!」 デビラーが高笑いを始めた。 ネロンガとベキラとの戦いを追えた防衛軍極東エリアでは嵐山長官からの連絡を受けていた。 極東エリアでもナンゴウ長官行方不明に関しては伝えられていた。 「ええ、ナンゴウ長官の捜索は諜報班がやっております」 オオヤマキャップが嵐山長官に経過を告げる。 「おや、オオヤマキャップ、所で端にいるのはオーレンジャーの隊員では?」 「そうですが、彼女は記憶を失っているそうです」 嵐山長官が右端にいたオーイエロー二条樹里を見つけ、イトウチーフが彼女の現状を説明する。 「樹里か、俺だ」 「あなたは…?」 樹里にオーレッド・星野吾郎が話しかけるが、樹里は思い出せない様だ。 「それなら我々のバルカンベースへ向かわせてみてはどうでしょうか?きっと彼女の記憶も戻ります」 「それならお願いします。」 嵐山長官が樹里をバルカンベースに行かせる事を提案する。それをオオヤマキャップがOKを出す。 「では直通の高速シャトルを手配いたします」 「イトウチーフ、お願いします」 樹里は高速シャトルでバルカンベースに向かう事になった。
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登場デュエリスト:インヴェルズ・ガザス(DU) 解説:レート1280 【インヴェルズ】使い。 攻略 出現条件 ストーリー:クリア後。 WCモードとの連動 パック連動 プレゼント 激レア:インヴェルズ・ギラファ レア:インヴェルズの斥候 レア:ドラゴエディア 通常:化石調査 通常:拷問車輪 通常:ドラグニティ-コルセスカ デッキ名:インヴェルズスペース 修正・50音待ち 合計40枚+09枚 上級08枚 インヴェルズ・ガザス インヴェルズ・ギラファ×3 インヴェルズ・マディス インヴェルズ・モース×3 下級25枚 インヴェルズの先鋭×3 インヴェルズの斥候×3 インヴェルズの魔細胞×3 インヴェルズの門番 インヴェルズ万能態×2 インヴェルズを呼ぶ者×3 グローアップ・バルブ 終末の騎士×2 ゾンビキャリア ダーク・グレファー×2 魔導雑貨商人×3 ライトロード・ハンター ライコウ 魔法06枚 悪夢再び×3 死者蘇生 貪欲な壺 ハリケーン 罠01枚 侵略の波紋 エクストラ09枚 A・O・J カタストル ゴヨウ・ガーディアン スクラップ・ドラゴン スターダスト・ドラゴン 氷結界の龍 トリシューラ 氷結界の龍 ブリューナク ブラック・ローズ・ドラゴン×2 ミスト・ウォーム
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コメント欄をギラファと分離。アヴェさんはメガコロにちょっと挿しておくだけで十分だとは思うが。メインだと使いにくい。 -- 2014-02-12 16 40 06 アイアンカッター謎採用してるが何か理由があるのか? -- 2014-02-16 00 46 24
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メガコロニー - インセクト グレード〈1〉 ノーマルユニット (ブースト) パワー 6000 / シールド 0 / クリティカル 1 永:守護者 自:[あなたの手札から1枚選び、捨てる] このユニットが(G)に登場した時、コストを払ってよい。払ったら、あなたの「ギラファ」を含むユニットを1枚選び、そのバトル中、ヒットされない。 永【ソウル/ドロップゾーン】【GB1】:あなたのターン中、あなたの「ギラファ」を含むユニットすべてのパワー+1000。 フレーバー:俺は此処を守っとくんで、存分にやっちゃってくだせぇ! 順位 選択肢 得票数 得票率 投票 1 使ってみたいと思う 0 (0%) 2 弱いと思う 0 (0%) 3 強いと思う 0 (0%) 4 面白いと思う 0 (0%) その他 投票総数 0 コメント
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進「novだと? 尼曽根を襲った女の仲間か」 オルバ「ナオミのことでございますね。いかにも。わたくし共はnovの3機士。 とある目的のためにmayを訪れております」 進(3機士? つまりもう1人、novのやつがいる・・・) 進「その目的のために、尼曽根からホープを奪ったってわけか」 オルバ「その通りでございます。そして、次は・・・」 進「俺、か? 生憎と狙われる覚えはないんだがな」 オルバがデュエルディスクを構えるのを見て、進も応じる。 敵の狙いはわからない。 しかし、novの手がかりが目の前に現れたのだ。 親友の彼女のためにも、ここはデュエルで情報を聞き出すしかない、と進は判断した。 デュエル 進・オルバ「「 決 闘 !! 」」 ディアク 進 手札:5 LP 4000 場: 墓地: オルバ 手札:5 LP 4000 場: 墓地: オルバ「先攻はお譲りしましょう」 進「・・・・・・俺のターン。俺はモンスターを裏守備表示でセット。カードを2枚伏せてターンエンドだ」 進 手札:2 LP 4000 場:伏せモンスター×1、伏せ魔法・罠×2 墓地: オルバ 手札:5 LP 4000 場: 墓地: オルバ「わたくしのターン。ドロー。 このカードは、相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、手札から特殊召喚が可能。 わたくしは、《TG ストライカー》を特殊召喚いたします」 進「【TG】使いか・・・ナオミはエクシーズ使いだったようだが、あんたはシンクロってわけだ」 オルバ「バレてしまいましたか。では、存分にいかせてもらいましょう。 続けてわたくしは手札の《TG ワーウルフ》の効果を発動。☆4以下のモンスターが特殊召喚に成功いたしました。 よって、このカードを手札から特殊召喚いたします」 オルバのフィールドに機械と融合した戦士と人狼が並ぶ。 オルバ「☆3の《TG ワーウルフ》に☆2の《TG ストライカー》をチューニングいたします。 シンクロ召喚! お出でなさい、《TG パワー・グラディエイター》!」 半獣半人の機械狼が光差す道を通り抜け、サイボーグ戦士が変じた☆を纏う。 光の中から現れたのは斧を持つサイボーグ戦士だ。 進「あんたは口上言わないんだな」 オルバ「執事たるもの、目立ってはいけませんから。では、パワー・グラディエイターで裏守備モンスターを攻撃いたします」 進がセットしていたのは《インヴェルズの斥候》。 漆黒の殻を持つ蟻が力強い斧によって一撃のもとに切り裂かれる! オルバ「パワー・グラディエイターは貫通効果を持っております。研ぎ澄まされた斧の切れ味、ご賞味ください」 進「ぐっ・・・!」 《インヴェルズの斥候》のDEFは0。ダイレクトアタックを受けたのに等しい。 衝撃が進を襲う! デュエルの衝撃が実際のダメージとなっていた。 進「お決まりのごとく、闇のデュエルというわけか・・・やってくれる」 オルバ「わたくしはカードを1枚セットして、ターンエンドです」 進 手札:2 LP 1700 場:伏せ魔法・罠×2 墓地:《インヴェルズの斥候》 オルバ 手札:3 LP 4000 場:《TG パワー・グラディエイター》、伏せ魔法・罠×1 墓地:《TG ストライカー》、《TG ワーウルフ》 進「俺のターン、ドロー! 俺は手札から《インヴェルズの魔細胞》を特殊召喚!」 自分のフィールドにモンスターが存在しない場合、特殊召喚できる下級インヴェルズだ。 漆黒の甲殻を持つ天道虫が登場、 魔細胞『電波投げ!』 意味もなく某電波人間の技を披露した。 進「魔細胞をリリースし、《インヴェルズ・ギラファ》をアドバンス召喚だ」 Dパッド『頑張れギラファ頑張れギラファ、頑張れギ・ラ・ファー!』 進のDパッドが勝手にナレーションを流し、ギラファノコギリクワガタをモチーフとした黒き怪人が出現! 進「ギラファの効果発動! 相手フィールドのカード1枚を墓地に送り、俺は1000LPを回復する。 パワー・グラディエイターを墓地へと送ってもらうぞ」 オルバ「破壊ではなく墓地送り、ですか。その上LP回復・・・さすがでございます」 進(余裕だな・・・俺を狙う目的も不明、飄々とした態度、なにかありやがる) 進「ギラファでダイレクトアタック!」 オルバ「リバースカード、オープンとまいりましょう。《強制脱出装置》でございます」 フリー・チェーンで使えるバウンス効果、強力な除去カードだ。 だが。 進「ならばこちらもだ。リバースカード、オープン! 速攻魔法《侵略の汎発感染》! このターン、インヴェルズモンスターはこのカード以外の魔法・罠の効果を受けない!」 オルバ「これはこれは。いた仕方ありません」 2600の大きなダメージを受け、オルバが吹き飛ぶ! 立ち上がり、眼鏡の位置を直すオルバの姿を見て進が訝しんだ。 進「あんた、その身体は・・・」 オルバ「ええ、わたくしはサイボーグでございます」 破れた執事服のあちこちから機械パーツが覗いている。 オルバ「ご存知でしょうか? novが異次元へと飲み込まれたことは」 進「ああ、そう聞いている。尼曽根の親父さんの説・・・正しかったか」 オルバ「異次元の環境は熾烈にして苛酷。吹き止むことのない異次元嵐と激しい異次元雷。 わたくし共novの民は、そんな異次元で生きていくため、皆多かれ少なかれ身体を改造するしかなかったのです」 進「・・・・・・同情を誘っているのか?」 オルバ「いえ、滅相もない。わたくしはただ事実を申し上げているのみです」 進「・・・・・・俺はこれでターンエンドだ」 進 手札:1 LP 2700 場:《インヴェルズ・ギラファ》、伏せ魔法・罠×1 墓地:《インヴェルズの斥候》、《インヴェルズの魔細胞》、《侵略の汎発感染》 オルバ 手札:3 LP 1400 場: 墓地:《TG ストライカー》、《TG ワーウルフ》、《TG パワー・グラディエイター》、《強制脱出装置》 オルバ「わたくしのターン、ドロー! わたくしは《TG カタパルト・ドラゴン》を召喚いたします。 カタパルト・ドラゴンの効果により、1ターンに1度、手札からTGチューナーモンスターを特殊召喚可能でございます。 《TG ジェット・ファルコン》を特殊召喚いたしましょう」 巨大なカタパルトを備えたドラゴンが姿を現す。 そしてそのカタパルトに機械の隼がセットされ、発射された。 オルバ「☆2のカタパルト・ドラゴンに☆3のジェット・ファルコンをチューニングとまいりましょう。 シンクロ召喚! お出でなさい、《TG ワンダー・マジシャン》!」 カタパルト・ドラゴンが光差す道の中で星を纏い、小柄なサイボーグ魔術師へと姿を変える。 ワンダー・マジシャン『ハァ!』(野太い声) 進「シンクロ・チューナー・・・こいつは・・・」 オルバ「墓地のジェット・ファルコンの効果でございます。シンクロ素材となったとき、500ポイントのダメージを。 そして、ワンダー・マジシャンの効果。シンクロ召喚に成功した時、魔法・罠カードを1枚破壊させていただきます」 守備表示で特殊召喚されたワンダー・マジシャンが腕を振るい、進の残された伏せカードを破壊した。 破壊されたのは《侵略の一手》だ。進は効果を発動しなかった。 オルバ「続けて手札より《死者蘇生》を発動、墓地のパワー・グラディエイターを蘇生いたします。 ☆5のパワー・グラディエイターに☆5のワンダー・マジシャンをチューニング!」 進「来るか・・・!」 オルバ「アクセルシンクロ! 《TG ブレード・ガンナー》!」 一瞬! 人間離れした速度で駆け出したオルバの姿が進衝突する寸前に消え、背後に現れる。 サイボーグの強化された身体機能を生かし、オルバは生身でアクセルシンクロを成功させたのだ。 緑色の装甲を持つ銃剣士が姿を現す! オルバ「バトルです。ブレード・ガンナーで《インヴェルズ・ギラファ》を攻撃!」 進「ぐわあああ!」 銃剣に貫かれ黒いクワガタ怪人が爆散、衝撃波が進を吹き飛ばした。 オルバ「これにてターンエンドでございます」 進「くっ・・・生身でアクセルシンクロとはな。やってくれる」 優雅に一礼しターンエンドを宣言するオルバ。 そのフィールドには魔法・罠耐性とリリースエスケープ能力を持つATK3300の大型モンスター。 対して進のフィールドはがら空きである。 LPこそ互角のものの、劣勢であった。 進 手札:1 LP 1500 場:《インヴェルズ・ギラファ》、伏せ魔法・罠×1 墓地:《インヴェルズの斥候》、《インヴェルズの魔細胞》、《侵略の汎発感染》、《インヴェルズ・ギラファ》、《侵略の一手》 オルバ 手札:1 LP 1400 場:《TG ブレード・ガンナー》 墓地:《TG ストライカー》、《TG ワーウルフ》、《TG パワー・グラディエイター》、《強制脱出装置》、 《TG ジェット・ファルコン》、《TG カタパルト・ドラゴン》、《死者蘇生》 進(逆境、か。これで燃えないでどうする!) 進「俺のターン、ドロー!」 逆境こそヒーローにとっては見せ場、とばかりに進は前へ出る。 背後のオルバを振り返り、 進「墓地の斥候の効果! 俺のフィールドに魔法・罠はない。よって特殊召喚できる!」 斥候『ゼクトルーパー出動!』 進「斥候をリリースして、《インヴェルズ・モース》をアドバンス召喚!」 Dパッド『シャバドゥビッタッチショウカーン! モース、プリーズ』 黒き蛾の怪人が召喚され、羽を翻す! 進「モースの効果! 1000LPを払い、相手フィールドのカードを2枚まで手札に戻す!」 モンスター効果による手札へのバウンス。 魔法・罠への耐性を持つブレード・ガンナーであってもモンスター効果は防げない。 厄介なアクセルシンクロモンスターをLPと引き換えに除去し、進の逆転劇が決まった! 進「モースでダイレクトアタックだ!」 オルバ「お見事でございます!」 衝撃にオルバが吹き飛び、進の勝利がコールされた。 汗をぬぐい、勝利に一息をつく進。 機械部分から火花を散らしつつよろよろと立ち上がったオルバを睨む。 進「あんたの目的はなんだ? なぜ俺にデュエルを仕掛る?」 オルバ「わたくしの目的はこれにて完了です。おしゃべりの時間はここまでといたしましょう」 進「なに?」 KABOOOOM! 近くの建物から突然の爆発音。 進が振り向いた視線のその先にあったのは、彼が目指していたチームXGの偽装事務所だ。 そこから煙が噴き出している。 そして、その煙を引き裂き1台のD・ホイールが飛び出してきた。 漆黒の鳥を思わせるボディを走らせる褐色の女。 ナオミだ。 進「まさか、あんた!」 オルバ「はい。わたくしの目的は、時間稼ぎ。あなたをここで足止めすることでございます」 恭しく答えるオルバの横を黒いD・ホイールが走り去っていく。 その後部には《封印の黄金櫃》を思わせる巨大な金色の箱が載せられている。 ナオミ「《異次元よりの帰還》を発動!」 ナオミがカードを発動するとその進路上の空間がひび割れ、突如として大きな穴が開いた。 周囲の空気を吸い込む漆黒の穴。 異次元へと通じる空間の穴だ。 彼女の力なのかはたまたカードに篭められた力なのか。 カードの効果を実体化してみせたのである。 そこへ煙の上がる事務所からドゥカヴニーが飛び出してきた。 ドゥカヴニー「ミスタ・ススム! ヒカリ=サンがそいつに!!」 進の姿を認めたドゥカヴニーが慌てて声を上げる。 宇宙人・ヒカリがさらわれた!? 状況を察した進が動いたときにはもう遅く、ナオミのD・ホイールが穴へと消える。 オルバ「それではごきげんよう、黒剛様」 続けてオルバもひび割れた空間へと姿を消した。 進「ヒカリを返せ!!」 世界の復元力により、急速に修復されていく次元の裂け目。 決断は一瞬だった。 進は異次元に続く穴へと消えたナオミのD・ホイールの後を追い、迷わず穴へと飛び込んだ・・・・・・。 続く
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レベル4以下のインヴェルズ インヴェルズの魔細胞 インヴェルズの斥候 インヴェルズの門番 インヴェルズを呼ぶ者 インヴェルズ万能態 インヴェルズの歩哨 インヴェルズの先鋭 レベル5以上のインヴェルズ インヴェルズ・マディス インヴェルズ・モース インヴェルズ・ギラファ インヴェルズ・ガサス インヴェルズ・ホーン インヴェルズ・グレズ 「インヴェルズ」と名のついたエクシーズモンスター インヴェルズ・ローチ インヴェルズを参照するカードインヴェルズの魔細胞 インヴェルズの斥候 インヴェルズの門番 インヴェルズを呼ぶ者 インヴェルズ・マディス インヴェルズ・モース インヴェルズ・ギラファ インヴェルズ・ガサス 侵略の一手 侵略の波動 インヴェルズ万能態 インヴェルズ・ホーン インヴェルズ・グレズ 侵略の波紋 侵略の手段 ヴェルズ・バハムート(ヴェルズ) 侵略の侵蝕感染(ヴェルズ) ヴェルズ・カストル(ヴェルズ) ヴェルズ・オピオン(ヴェルズ) 侵略の汎発感染(ヴェルズ) 侵略の侵喰崩壊(ヴェルズ) 専用デッキ 蘇りし絶対捕食者 出現条件―メインデッキを上記のカードからモンスター3枚で構成 メインデッキ 侵略の一手 悪夢再び 侵略の波紋 侵略の手段 補助デッキ インヴェルズの魔細胞 インヴェルズの先鋭 インヴェルズを呼ぶ者 インヴェルズ・ホーン インヴェルズの歩哨 インヴェルズ・グレズ アクションコンボ インヴェルズ闇波動 発動条件―スキャンしたモンスター3体が上記のカードのみ 効果-1回目のアクションリールは狭く、バーを止めた位置のリールが太くなる
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レベル4以下のインヴェルズ インヴェルズの魔細胞 インヴェルズの斥候 インヴェルズの門番 インヴェルズを呼ぶ者 インヴェルズ万能態 インヴェルズの歩哨 インヴェルズの先鋭 レベル5以上のインヴェルズ インヴェルズ・マディス インヴェルズ・モース インヴェルズ・ギラファ インヴェルズ・ガサス インヴェルズ・ホーン インヴェルズ・グレズ 「インヴェルズ」と名のついたエクシーズモンスター インヴェルズ・ローチ インヴェルズを参照するカードインヴェルズの魔細胞 インヴェルズの斥候 インヴェルズの門番 インヴェルズを呼ぶ者 インヴェルズ・マディス インヴェルズ・モース インヴェルズ・ギラファ インヴェルズ・ガサス 侵略の一手 侵略の波動 インヴェルズ万能態 インヴェルズ・ホーン インヴェルズ・グレズ 侵略の波紋 侵略の手段 ヴェルズ・バハムート(ヴェルズ) 侵略の侵蝕感染(ヴェルズ) 専用デッキ 蘇りし絶対捕食者 出現条件―スキャンしたモンスターが上記のカードのみ メインデッキ 侵略の一手 悪夢再び 侵略の波紋 侵略の手段 補助デッキ インヴェルズの魔細胞 インヴェルズの先鋭 インヴェルズを呼ぶ者 インヴェルズ・ホーン インヴェルズの歩哨 インヴェルズ・グレズ アクションコンボ インヴェルズ闇波動 発動条件―スキャンしたモンスター3体が上記のカードのみで三体目のバトルフェイズに移行する 効果-1回目のアクションリールは狭く、バーを止めた位置のリールが太くなる
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Uを目指して/世界が終わる前に ◆gFOqjEuBs6 カブトの破壊剣と、クワガタの双剣が激突した。 お互いの腕と、踏ん張る脚に振動が響き渡って、溜まらず数歩後退。 突き刺す様な視線を交差させて、黄金の仮面の下でキングが嘯いた。 「ねえギラファ、もう止めようよ。僕達が戦う事に何の意味があるのさ」 何を抜け抜けと、と金居は思う。 自分達はアンデッドだ。戦わないアンデッドに存在意義などない。 最後の勝者になって初めて、アンデッドとしての存在意義を証明出来るのだ。 にも関わらず、このスペードのキングには戦う意思がないと言う。 金居にはそれが理解出来なかったし、理解するつもりも無かった。 故に、無言のうちに双剣を振りかざし、再びキングに肉薄する。 「シェアッ!」 だが、コーカサスは微動だにしない。 ギラファが振り下ろしたヘルターは、コーカサスに触れる前に盾に阻まれた。 ならばとばかりに、矢継ぎ早にスケルターを振り上げるが、それも通りはしない。 繰り出した攻撃は尽くコーカサスの盾に阻まれ、無駄に火花を散らすだけだった。 「はぁ……僕達に戦う意味がないって言ったのは、ギラファじゃないか」 「ああそうだ……確かにあの時点では俺たちに戦う意味など無かった……!」 「今だって無いよ。だって、そもそも僕に君と戦う意思がないんだもん」 ギラファの剣を盾で弾き返して、コーカサスが告げた。 「戦う気が無いならそれまでだ。この場で俺が封印してやる」 そう、あの時は確かに自分に他のアンデッドを封印する術は無かった。 故にライダーシステムに頼るしか無かったし、アンデッド同士は結託するのが得策かと思えた。 だけど、今は違う。今は、この会場の中に居る限り、この男を封印する術が、自分にはある。 この場で力でねじ伏せれば、それだけでキングを封印する事が出来るのだ。 だからこそ、金居はこの場で何としてもキングを封印する。 その為に剣を振り続けるのだが―― 「別にいいよ。ギラファが僕を封印したいなら」 「何……?」 予想外の言葉に、振り下ろす双剣が止まる。 封印された時点で、アンデッドとしては死んだも同然。 確かに封印された後も何らかの形で現実世界に干渉する事は可能だ。 だが、それでも封印前と比べれば殆どの行動が制限されるし、封印されるメリットなど無い。 故にキングの言葉を戯れ言と切り捨てようとした、その瞬間だった。 おもむろにデイバッグに手を突っ込んで―― 「ほら、これあげるよ」 「これは――!!」 三枚のカードを、ギラファに向かって乱暴に投げつけた。 それらは全てギラファの黄金の胸板に当たって、はらはらと舞い落ちる。 落ちたカードを手にとり、その絵柄を確認した所で、ギラファは驚愕した。 それはギラファも良く知る、自分達を封印する為のラウズカード。 鎖だけが描かれた、何も封印されていない状態のそれの名は。 「これは……プロパーブランクのカード……! 何故貴様がこれを!?」 「ボーナス支給品って奴だろうね。別にいらないから、ギラファにあげるよ」 仮面ライダー達はこのカードを使い、アンデッドを封印し続けて来た。 それが何を意味するのか――つまりは、このカードさえ持って居れば、金居もライダーと同じ様に戦えるという事。 といっても、今手元にあるプロパーブランクに対応しているのは、三体のアンデッドだけのみ。 それぞれのカードに記された記号は、スペードのK、ダイアのK、コモンブランクで計三枚。 そう、この会場で殺し合いに参加させられていた三体のアンデッドに対応しているのだ。 故に、この瞬間から金居は、元の世界に戻ってからでも、キングを封印出来るのだ。 「これで俺はいつでもお前を封印出来る。お前は何が望みなんだ?」 「別に何も。僕は楽しければそれでいいからさ」 嘲笑う様に告げて、キングの装甲が音を立てて消失した。 そこに居るのは、最強のアンデッドなどでは無く、只の一人の少年。 煩わしそうに黒の仮面とマントをその場に脱ぎ捨てて、髪の毛をかき上げる。 微かに日が昇り始めた雑木林の中で、風に靡く赤いジャケットは酷く浮いて見えた。 ともあれ、変身制限が掛けられたこの会場で、自ら変身を解除するのは、自殺行為。 この場でキングを殺せば、ブランクを持った金居に敗北はあり得ない。 「僕はバトルファイトなんてどうだっていい。だから別に封印されたって構わない」 「解せないな。なら、お前は何のために今まで戦い続けて来た」 「だ、か、ら、言っただろ? 楽しければそれでいいってさ」 呆れた様に笑いながら、キングがのたまった。 プロパーブランクのカードを矯めつ眇めつして、考える。 こいつは本気で自分と戦う気など皆無なのではないか、と。 もっと別な何かを考えて、その上で金居に協力を持ちかけているのではないか。 少しでも情報を得たい現状、キングを信じて、話を聞くくらいはしてやってもいいのではないか。 「いいだろう。お前の考えを聞いてやる」 そこまで考えて、ギラファアンデッドは黄金の装甲を解除した。 それから一時間足らず。 二人は現状の情報交換を行った。 といっても、この会場で起こった出来事にそれ程興味は無い。 二人が今何よりも優先して行わなければならない情報は、主催についてだった。 金居がこれまで主催側とコンタクトを取っていたという事実を知って、キングは神妙に頷いた。 「なるほどね。実は僕もプレシアから情報を与えられてたんだ」 「情報、だと……?」 「ま、簡単に言うと参加者全員の詳細情報って所かな」 だから金居がワームのボスの時間停止に負けた事も知っている、と続けた。 それを知っているという事は、キングの時間停止を利用しようとしていた事も知られているのだろう。 となれば、キングに対してこの会場に来る前の出来事を隠し通す事はほぼ不可能と考えていいだろう。 だが、何故カテゴリーキングの二人にだけ主催側とのパイプが用意されていたのか。 今度はそんな疑問が残る。 「もしかしたら、プレシアは僕達をジョーカーとして利用しようとしてたのかも知れないね」 「やめてくれないか。仮にそうだとしても他の言葉を使って貰いたいな」 「あっはっは、そっか! ギラファはジョーカーと因縁があるんだっけ!」 キングの言うジョーカーとは、奴――相川始――の事では無い。 そうと分かってはいるのに、金居の中で言い様の無い嫌悪感が湧き起こる。 全ての生命を滅ぼす奴を、自分達の存在意義を無にする奴を、金居は認めたくはなかった。 冗談であったとしても、全ての生命の宿敵と同じ名前として利用されるなど考えたくもない。 「とにかく、そこまで殺し合いを促進させておいて、この終盤でこうも簡単に首輪を解除させるのが解せない」 「それなんだけどさ、多分プレシア死んじゃったんじゃないかなって僕は思うんだけど」 「お前もそう思うか」 それに関しては、どうやらキングも同じ見解らしかった。 プレシア死亡に至るまでの考察は、今まで何度も考えた通りだ。 定時放送が不自然に10分送れた事。首輪が突然解除された事。 それらから考えるに、少なくともプレシアの身に何も起こっていないとは考え難い。 「プレシア自身も、多分48時間くらいがタイムリミットだと思ってたんじゃないかな。 でもそのタイムリミットが来る前に、この殺し合いは誰かに乗っ取られちゃった。 なら、この殺し合いはどうなるのかな? 次の放送はあるのか、それとも……」 「下手をすれば俺達はこのまま、この世界ごと捨てられる可能性もある」 「ははっ、相変わらず察しがいいね、ギラファ」 首輪が無い意味、もう何を話そうが盗聴される恐れは無い。 二人は堂々と各々の見解を語り合い、一つの答えへと結び付けて行く。 カテゴリーキングの二人の考察はだいたい同じで、自分達が危機的状況にある事に繋がってゆく。 「だとすれば……拙いな。この世界と心中だけは避けたいが……」 「ギラファ、一つ聞かせて欲しいんだけど、君はこの戦いで何を求めていたのさ? まさか何も考えずに殺し合いに乗ったら元の世界に帰れるなんて馬鹿な事考えてた訳でもないだろ?」 当然だ。 ギラファの目的は、二度とこんな殺し合いに巻き込まれない様にする事。 その為に主催であるプレシアに従ったフリをしながら、最終的にはプレシアを殺す。 主催側を完全に叩き潰して、完全にこんな殺し合いからはおさらばする。 それが目的だったのに、当面の敵が見えなくなってしまった。 それを告げると、キングは愉快そうに笑って、嘯いた。 「やっぱり僕の思った通りだ! ギラファならそういう事考えてると思ってたよ!」 「だが、今となってはもう、それを考えた所でどうしようもない」 「どうかな? まだ出来る事はあるかも知れないよ」 「何……?」 不敵に笑うキング。 それからキングの主導で、もう一度二人の行動を洗い直した。 二人の行動に共通していたのは、この会場の中央部へ赴いた事。 場所は違えども、二人は共通した魔法陣を目撃し、それで移動を行った。 キングが知っている魔法陣は、確かに地上本部の頂上にあった筈だ。 なのに、地上本部倒壊後には地下へと転移していた。 「プレシア達は、どうしても魔法陣が必要だったのかな?」 「そうだとして、それが何になる? この世界が放棄されれば魔法陣など関係ないだろう」 「うーん、それはそうなんだけど、どうしても気になるんだよね」 わざとらしく顎に手を添えて、考える素振りを見せるキング。 魔法陣がどうなろうと、今更そんな事は大した問題では無い。 今はどうやってここから脱出するか、が重要なのだ。 「もしかしたらさ、その魔法陣、逆転の切り札になるかも知れないよ」 「何……どれはどういう事だ?」 「だって、どうしてもその魔法陣が必要だったとするなら、何の為に必要だったと思う?」 「知るか。この殺し合いの裏方の都合など……」 「なら、なんで必要な魔法陣を作りなおした直後に、あそこを禁止エリアになんてしたんだと思う?」 金居の中で、確かな疑問が芽吹いてゆく。 キングの言う通りだ。どうしても必要で魔法陣を作ったのだとしたら、そこを禁止エリアにする理由は何だ? どうせ禁止エリアにするつもりなのなら、魔法陣など作らずともそのまま捨て置けばいいのではないか? ならば、何故だ。何故奴らはもう一度魔法陣を作り直したのだ。 殺し合いを続ける上で、どうしても必要だったから? 「どうせ首輪ももう無いんだ、ここでじっとしてるくらいなら、ちょっと行ってみない? 気になるんだよね、どうしても」 「構わないが……お前はそこへ行ってから、どうするんだ」 それだけが気掛かりだった。 キングは殺し合いには興味がないから、封印されても構わないとのたまう。 だけれど、地上本部に向かった後どうするのか、明確なビジョンは未だ見えない。 だから不安要素を今のうちに消しておくためにも、金居はキングに質問した。 「そうだなぁ……仮に魔法陣が必要だったとして、ギラファは何の為に必要だったと思う?」 「具体的にはわからないが、会場と主催側を繋ぐ何らかのパイプとして必要だった……とか、そんな所じゃないか」 「ま、そうなるだろうね。もしもそれで主催側の本拠地に乗り込めたなら、さ」 口角を吊り上げて、心底楽しそうに続ける。 「僕は、プレシアの力が、欲しい」 「何だと……?」 それは、キングが初めて告げた、「楽しむ」以外の欲望。 否。それも元を辿れば、楽しむ為の過程に過ぎないのかも知れない。 金居の神妙な視線と、キングの愉快気な視線が交差して、キングは語り出した。 「だって凄いじゃないか。プレシアはこんなにも沢山の世界に干渉する力を持ってる 考えてもみなよ。その力と比べれば、僕達の世界のバトルファイトなんて取るに足らない。 無数に存在する世界を全部、自分の自由に出来るとしたら、こんなに素敵な事は無いよ!」 「お前は、バトルファイトで優勝する事よりも、その力を望むのか……?」 「当然さ。だって馬鹿馬鹿しいんだよね。あんなちっぽけな世界で争い続けたって、僕は満足しない。 ワームや人間達に邪魔されながらも頑張って戦い抜いて、世界を作り変えて、自分だけの楽園を創る? ……馬鹿馬鹿しいよ。そんな事をするくらいなら、まだ何が起こるか分からない理想郷に、僕は賭けたいんだ」 それがキングの考えだった。 思えば、この男は初めて出会った時にもそんな事を言って居た気がする。 この男は、際限なく戦い続け、勝者を決めるだけのこの戦いに嫌気が刺していたのだろう。 だから、「楽しむ」為に他者を利用し、全てをブチ壊して、何もかもを破滅させようとしていた。 そんなキングに舞い込んだチャンス。全ての世界を自由に出来るという、途方も無い程の力。 仮にそれが得られなくとも、それに賭けて動いてみるのは、十分楽しいゲームなのだろう。 だからキングは、この新しいゲームを攻略する為に、金居に話を持ちかけた。 そこまで分かって、金居はキングに向き直った。 「いいだろう……確かに、世界が無数にあるなら、どちらかの勝者を決める必要などない」 「そうそう。きっと僕達二人でだって持て余すくらい、世界は沢山あるんだ。 なら元の世界のバトルファイトにこだわる必要なんてない。君があの世界にこだわるなら、君の好きにすればいい。 仮にもしも僕の憶測が外れて、他の世界を手に入れられなかったとしても、それは単に僕がゲームオーバーってだけ。 その時は、君が僕を封印して、元の世界に帰ってくれればいい。君にとって、デメリットはないだろ?」 確かに、キングの言う通りだった。 基本的にキングは、自分の封印に関しては元々こだわっていない様子だった。 となれば、ブランクのカードを持っている今、この男を封印する事はそれ程難しい事では無い。 それよりも寧ろ、キングの話に乗って、何らかの時間停止に対抗する手段を得た方が得策だと思える。 ワームのボスにリベンジを果たした上で、金居は自分のバトルファイトで優勝する。 それさえ出来ればいいのだから、二人の利害は一致している。 「分かった……次の放送まで時間もそれ程残されてはいない。とっとと地上本部跡地へ向かおうか」 「あっ……ちょっと待って」 不意に、キングが神妙な面持ちで金居を遮った。 次の放送があるかどうかも分からない今、ここでじっとしていたくは無い。 少しでも可能性があるなら、一刻も早く行動に出たかったのだが――。 「あれ、見てよ」 キングが指差したのは、彼方の空。 普通の人間よりも圧倒的に強力な視力を持った金居には、それが見えた。 日が昇り始めた空を駆け抜ける、一台の巨大マシンと、一匹の巨大な竜。 それから魔法で空を飛ぶ女が一人と、竜の背には点々と人間の影も見えた。 そして、奴らが向かっている方向は、恐らくは会場の中央方面。 「ほう……どうやら奴らも考える事は同じだったようだな」 「はは、ギラファ、これで尚更行く用事が出来たね」 生き残った参加者達が、こぞって地上本部に向かっている。 このまま先を越されて、奴らだけ脱出などされては、堪ったものではない。 また、一緒に脱出したとしても、元の世界に帰れば、高確率で仮面ライダーは敵になる。 ならばこの会場が朽ち果てる前に、奴らをこの手で倒しておくのも悪くは無い。 「これが、この場での最後の戦いになるか……?」 「さあ、どうだろうね。ここまで来たら流石の僕にもわかんないや」 恐らく、嘘は言って居ないのだろう。 地上本部に何があるのかは分からないが故に、キングにも今後の想像は出来ない。 当然の事だ。だけれど、キングの性格を考えれば、奴らと一緒に脱出など考えている訳も無い。 こいつの事だ。どうせ最後のお楽しみとか何とか言って、あの参加者共で遊ぶつもりなのだろう。 それを止めるつもりも、邪魔するつもりもない。奴らがどうなろうが知った事は無いからだ。 「だが、どうやって向かう? 徒歩じゃ追い付けないぜ」 「大丈夫だよ。移動手段なら、ある」 いいながら、デイバッグを逆さにした。 ぐぐっと、口を前回まで広げて、そこから何かを取り出そうとする。 このデイバッグには、質量などという物は関係ない。何だって収納できる、魔法の鞄だった。 どんな原理か想像も出来ない鞄の中から、金色の何かが音を立てて落下を始める。 「これは……」 それから間も無くして、それは完全に姿を現した。 金色と黒のボディを輝かせて、どすんっ! と音を立てて現れたのは、一台のバイク。 SMART BRAINのロゴを輝かせて、特徴的なフォルムを見せつけるそれは、仮面ライダーの乗り物だ。 金居は見た事がなかったが、左側にサイドカーを装着したそのバイクの名は、サイドバッシャー。 それをどうしてキングが持っているのか。そんな疑問を口にする前に、荷物の整理をしていたキングが口を開いた。 「ボーナス支給品、って奴だろうね。多分クアットロを殺した時の奴。 ずっと気付いてたんだけど、使い道がないからそのままスルーしてたんだよ」 「まさかこんな所で役に立つとは……とんだご都合主義だな」 呆れたように笑って見せるが、これ程の僥倖は無い。 仮面ライダーのマシンを使えば、圧倒的なまでの加速が可能だ。 これを使えば恐らくは、奴らに追い付く事だって可能。 「さあ、準備完了。運転は僕に任せてよ」 邪魔な荷物を全てその場に置き去りにして、キングが運転席に跨る。 ならば自分もとばかりに、自分の持つ余計な荷物を全てその場に捨て置いた。 思えば自分も余計な荷物を持ち過ぎて、やたらとデイバッグの中がごちゃごちゃしていた様に思う。 「俺の方も準備は出来たぜ」 それからややあって、金居もサイドカーに乗り込んだ。 それを確認したキングは、サイドバッシャーにエンジンをかける。 ドルルルル! と轟音を響かせて、サイドバッシャーのライトに眩い明かりが灯った。 ライトの光に照らされた一本の道。それは、これから二人が歩むたった一つの道のりだ。 この先に、果たして何が待って居るのか。 最後の戦いか。はたまたそれ以外の結末か。 全ての世界を手にするか、何も得られずに終わるか。 終わる世界を前に、二人の道化は最後の戦場へと赴く。 まだ見ぬ理想郷を目指して――。 【2日目 早朝】 【現在地 D-9 雑木林】 【キング@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 【状態】健康 【装備】サイドバッシャー@魔法少女リリカルなのは マスカレード、キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】支給品一式、ハンドグレネード×4@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ラウズカード(ハートのA、3~10)、 RPG-7+各種弾頭(照明弾2/スモーク弾2)@ACE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL、爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸 【思考】 基本:この戦いを全て無茶苦茶にし、主催を乗っ取る。 1.地上本部へ向かい、魔法陣を調べる。 2.地上本部に集まった参加者達で何か遊んでみる……? 3.楽しむ事が出来たなら、最終的に金居に封印されても構わない。 【備考】 ※キングの携帯電話には『相川始がカリスに変身する瞬間の動画』『八神はやて(StS)がギルモンを刺殺する瞬間の画像』『高町なのはと天道総司の偽装死体の画像』『C.C.とシェルビー・M・ペンウッドが死ぬ瞬間の画像』が記録されています。 ※全参加者の性格と大まかな戦闘スタイルを把握しています。特に天道総司を念入りに調べています。 ※十分だけ放送の時間が遅れた事に気付き、疑問を抱いています。 ※首輪が外れたので、制限からある程度解放されました。 ※キングが邪魔だと判断した支給品は全て捨てました。 【金居@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 【状況】健康 【装備】バベルのハンマー@仮面ライダークウガA’s ~おかえり~ 【道具】支給品一式、砂糖1kg×5、イカリクラッシャー@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER、デザートイーグル(4/7)@オリジナル ラウズカード(ハートのJ、Q、K、クラブのK、ダイアKのブランク、スペードKのブランク、コモンブランク)@魔法少女リリカルなのは マスカレード ランダム支給品(ザフィーラ:1~3)、マッハキャリバー@魔法少女リリカルなのはStrikerS ジェネシスの剣@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、クレイモア地雷×3@リリカル・パニック 【思考】 基本:ゲームからの脱出、もしくは主催の乗っ取り。 1.地上本部へ向かい、魔法陣を調べる。 2.地上本部に集まった参加者に利用価値がないなら容赦なく殺す。 3.最終的にキングが自分にとって邪魔になるなら、自分の手で封印する。 【備考】 ※放送の遅れから主催側で内乱、最悪プレシアが退場した可能性を考えています。 ※首輪が爆発しなかったことから、主催側が自分達を切り捨てようとしている可能性を考えています。 ※最早プレシアのいいなりに戦う事は無意味だと判断しました。 ※首輪を外したので、制限からある程度解放されました。 ※金居が邪魔だと判断した支給品は全て捨てました。 【全体の備考】 ※以下の支給品をD-9 雑木林に放置しました。 ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル、ゼロの衣装(予備)@【ナイトメア・オブ・リリカル】白き魔女と黒き魔法と魔法少女たち おにぎり×10、菓子セット@L change the world after story、『SEAL―封印―』『CONTRACT―契約―』@仮面ライダーリリカル龍騎 いにしえの秘薬(空)@魔法少女リリカルなのはSTS OF HUNTER、顔写真一覧表@オリジナル、ガムテープ@オリジナル トランシーバー×2@オリジナル、トランプ@なの魂、正宗@魔法少女リリカルなのはStrikerS、首輪探知機(電源が切れたため使用不能)@オリジナル 首輪の考察に関するメモ、レリック(刻印ナンバーⅥ、幻術魔法で花に偽装中)@魔法少女リリカルなのはStrikerS、首輪(アグモン、アーカード、シグナム) かいふくのマテリア@魔法少女リリカルなのはStrikerS 片翼の天使、デイバッグ×8 Back Revolution 時系列順で読む Next Round ZERO~AMBITION SECRET(前編) Back Revolution 投下順で読む Next Round ZERO~AMBITION SECRET(前編) Back Masquerade キング Next Round ZERO~AMBITION SECRET(前編) Back Masquerade 金居 Next Round ZERO~AMBITION SECRET(前編)
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《殺戮甲虫ギラファスタッグ・ヴァルキリオン》 効果モンスター 星8/地属性/昆虫族/攻3800/守3500 このカードは通常召喚できない。 自分の墓地・手札・フィールド上に存在する 「クワガタ・アルファ」「クワガタ・ベータ」「クワガタ・ガンマ」を 1体ずつゲームから除外した場合のみ特殊召喚する事ができる。 守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。 Part13-79 ☆幻魔ネタの人の鑑定結果 本人は文句なしに強いのでパーツをどう落とすかが問題。 高等儀式術はもちろん、雑貨商人まで使ってさっさと出してやろう。 《巨大化》して一撃必殺を狙おうぜ! 関連カード クワガタ・アルファ クワガタ・ベータ クワガタ・ガンマ モンスターが墓地でもよい、必要モンスターがバニラとくれば《高等儀式術》。このカードを利用すれば速攻で召喚が可能。貫通能力を生かせる強大な攻撃力……これはまずいかな。 -- 地竜 (2007-06-12 18 15 26) このモンスターガ戦闘デ破壊 -- グレード・コア (2009-07-23 15 57 53) 名前 コメント